帰国後は、うんち漬け
「もう日本??」
世界一周から帰国して2日目、実家から程遠い大阪にいた日付は7月18日、せいたろちゃんからメッセージが届いた。
「富山に来ませんか?住み込みでバイトお願いしたいです」
せいたろちゃんはオーストラリアのケアンズ近く、田舎町のバナナファームで働いていた時に知り合った。当時はお互いそんな仲良し!ってわけでもなくふつうの友達、というぐらい。
実家がハンバーグをメインに出す洋食屋さんらしく、富山で開催されるイベントに出張屋台を出店するらしくそれの人手を探しているんだとか。7月21日から1ヶ月間。
………すぐじゃねぇか!
次の予定決めてなかったし面白そうだから行くか!
富山テクノホールというサイズのあるスペースで1ヶ月間展開されるイベント
その名も、うんちミュージアム
うんち、おなら、ゲップ、、汚いものラインナップを全面に押し出し、からだを仕組みを学ぼうという、子どもにとっては大好物、大人にとっても素晴らしい学習の場として活用できる素晴らしいイベント、ということである。
その一角に飲食休憩スペースを拵え、そこで我々はサービスを提供する。
出店は全部で4店
ピザ屋
たいやき屋
そして、洋食「だんらんや」
戦いの火蓋は切って落とされた
勝敗は初日にすでについた
うどん屋の圧勝
完膚無きまでの
ウチは800円前後のハンバーグ丼とドリンク
6〜700円前後のピザとジェラートを出すピザ屋
300円前後のたい焼きとラムネを出すたいやき屋
うどん屋が出したのは…
うんちソフトクリーム。500円。
色はもちろん、質感を見事に再現した出来栄え
子どもが欲しがるソフトクリームというチョイス
まきぐその愛らしいシルエットは子どもの心を鷲づかんだ
機械さえ用意すれば、人件費は1人で済む低コスト
何よりも、メイン商品であるうどんを完全に潰して、畑違いの勝てる商品に大きく舵をとった大胆な経営戦略
こちらは、ハンバーグをたくさん手作りで準備をし、米、付け合せの人参グラッセ、ブロッコリーなど用意するものも多い。賞味期限もある。ドリンクも揃える。販売と調理で最低2人はいる。販売価格も追い討ちとなった。割高なイベント入場料、アトラクションやゲームは別料金だ。ひと家族下手したら7〜8,000円の出費。半日遊んで、ご飯は自宅でという予算のやりくりが親の頭にあるのは想像に容易い。まぁ、ソフトクリームならいいか、となりやすい。
ピザもたいやきもイマイチで、うんちソフトにだけ連日行列ができた
僕らも苦慮の末、ハンバーグ丼はそのままに、新たなメニューを一品加えた
その名も、うんちウインナー
お客さんが店の前を通るたびに、こっちを見てる視線を感じるたびに、
「うんちウインナーいかがですか〜?うんちが焼き上がりましたー!」
と、声を枯らした(誇張)
まぁまぁの勢いでウインナーは売れていった。
僕らの仕事量はさらに増え、汗水たらして働いてる感がでてきていた。
が、
ハンバーグ丼いっぽんで勝負していた前半戦と比べて、売上はあまり変わらなかった。うんちウインナーは300円だったからだ。来店客数は伸びたが、本来であればもしかしたらハンバーグ丼を食べていた客も、うんちウインナーに流れてしまっていたのかもしれない。(水洗便所のように)ハンバーグ丼を本来売りたかったのに、どんどんうんちウインナーが捌けていく構図となってしまった。これでは、洋食だんらんやとしての本店のPRにもならない。
そこまで僕とせいたろちゃんは考えていなかった。
ただ、どうしたらうんちソフトに対抗できるか、だけを考えてしまっていた。
結果的に、赤字のままイベントは終了した。
僕は手伝いのために住み込みで働いただけだったが、おもしろい経験となった。
本店の洋食屋が人手不足で夏の忙しい時期に、せがれに経験を積ませるために、失敗してこいとイベントに送り込む親父さんの気概がかっこよかった。
帰国直後から1ヶ月間富山で毎日うんちうんちと叫んだ、という話でした
ぜひ富山に遊びに行くときは、洋食「だんらんや」でハンバーグを食べてみてください。めっちゃおいしいんよ。冷凍バーグのオンライン販売もやってるでぇ!