38ヶ国目 インド前編 ~地球散歩~
コルカタの空港の自動ドアが開いた瞬間、湿度の高いむあっとした空気が一気に“旅感”を蘇らせた。
言葉が通じない人がたくさんいる。
タクシードライバーに「バス?ねぇよ」と言われながらバスのりばを探し当て乗り込む感じ。
すべてが懐かしかった。
また旅が始まったんだなぁ
インドでもUBERは浸透してて専用乗り場があるほど。日本はこの先どうなんだろか
ATMで下ろしたての大きい2000ルピー(≒3,100円)札を細かくくずし忘れ、乗ったバス賃60ルピーも次のバス賃7ルピーも水の10ルピーも、お釣りがないと払うのを断られ、結局タダで宿まで辿り着いてしまった。お釣りがないというのは割と発展途上あるある。旅人のマナー(?)を怠ってしまった。ぼったくりにやられない以前にきちんと払うべきもんは払わないとと、初日から少し反省。
チャイデビュー
素手カレーデビュー
左利きのインド人はどうしてるんだろう。あまり今は関係ないのかどうなのか、とか思いながら頑張って右手で隣のインド人の真似しながら食べる。
聞くと利き手関係なくみんな右手で食べるんだってね
カーリー寺院という場所で、神に血を捧げるべくまさにギロチン台のような台にヤギの頭を固定させ、両手足を掴みながら一気にナタのようなナイフで首をブッた切る光景を目の当たりにした。それほど血がドバドバでるわけでもなく、切られた後も頭も目も胴体もしばらくジタバタ動き続けてた。間を空けず別のヤギが連れてこられ、祈りの言葉とハイビスカスのような赤い花びらを投げかけられ神の御前で生贄に捧げられてく。
あまりにも宗教的で衝撃的な光景に思わず合掌をした。
切った胴体は幼い子供たちによってすぐ近くの調理場に運ばれ、大人が片方の後ろ足を紐で縛り吊るし、皮を剥いでいく。慣れた手つきでものの10分で服を脱がすかのように皮が剥がされ、肉や内臓を切り分け終える様は、見事で一種の感動さえ覚えた。正直美味しそうだとさえ一瞬思った。そして男達が各部位を競うように袋に詰め込み買っていった。
ただ家畜が人の食糧になっただけ。
ただ意義や手法が違うだけで、やってることは日本とも変わらない。宗教なんてひとつの生きる道しるべであって、何人だろうと何教だろうと結局同じ人なんだなぁと。ただ、祈る姿は真剣そのもので、おそらく神に汁を捧ぐべく真剣にココナッツをその場で砕き割ってる、その行動は当然理解し難いものだった。
駅ではみなさん個性出しまくり
一番安い等級の寝台列車で14時間
聖地バラナシ 1週間の滞在
ひとりで路地という路地を歩き
毎日3,4杯7円のチャイを飲み
好き勝手ゴミを漁り糞を垂れる牛(神)を避け犬をかわし悪臭漂う道は口呼吸をし屋根を走る猿を見上げ
はじめてガンジス川を眺めた時
濁りに濁った水とモヤがかかったその色合いがなんだか神秘的に見えた
でもそれ以降は、ただの汚い川に見えた
地元民と沐浴
少しヌルッとした感触は先入観か実際の事か
3回潜ったあと何を祈るべきだったのか
翌朝トイレに3回駆け込んだのみでこれといったひどい体調不良にならなかったのは親に感謝しなくちゃな。
プジャーというお祈りの儀式が毎晩ガンジス川沿いで行われる、その雑多な様子はなんだか多くの人が詰め寄る日本の花火大会に似てた
ひとりで気の済むまでガンジスをぼーっと眺めた
早起きしてガンジスの朝日を拝んだ
早朝からガンジスで体を清める人たち洗濯する人たち
早朝ヨガを体験してみた開始2分で苦痛を感じた
乞食でも客引きでも暇人でもできるだけたくさん話をした
火葬場で実際に遺体が焼かれるのをじっと見つめた
狭い路地でクリケットして遊ぶ中高生に混じってみる。打席に立たせてくれたけど豪速球を投げられ振る事もできず。なんだよ手加減してくれよ
インド映画を観てみた。
ひとりの美女が学校をいい成績で収めロンドンの大学への進学が決定。その子に祭りでイケメンが一目惚れ。デートを重ねいい感じだがピザにケチャップをかけるかけないで大喧嘩。スッキリしないままロンドンへ旅立つ美女。仲間に押され追っかけるイケメン。クリスというロンドンボーイが新しい彼氏なのか‼︎と落胆するが結局そいつはゲイでした仲直りしてめでたしめでたし。
字幕なしのヒンディー語だけどまぁだいたいこんな感じ。2時間半の上映中に途中謎の20分休憩。やっぱり終始踊る、踊る。インド人のリアクションがおもしろかった。
マクラメをあげたらラッシーをタダで飲ませてくれた
「顔剃りをしてやろう。グッドカルマをしたいんだ。金は不要だ。おまえがハッピーなら俺もハッピーさ」座ってたら話しかけてきたその男に手入れをしてもらった後、彼は20ドルを請求してきた。
じゃあ、とマクラメを渡そうとすると頑なに拒んだ。「マネー、がほしいんだな?」と聞くと「何も要らないよ、ハッピーなら俺は満足さ」そう言い残して彼は去った
何杯もチャイを奢ってくれたお土産屋の客引き
ラッシー屋の兄ちゃん
いつも決まってバイクに座ってるヤツ
死ぬほどシモネタ大好きなボート漕ぎ
出る頃にはだいぶ顔見知りになったヤツらと、別れるのが少し淋しくもなった。
あの手この手で騙しそうとしてくるその手口が興味深く、時々イスタンブールのあのベリーダンスじじいを思い出させた。
悪いヤツうざいヤツなんてひとりもいない
今のところは。
いや2,3人はいたか
あんな狭い路地でこっちが避けるありきでクラクションうるさくあんなスピードを出すんじゃねぇよバイク野郎タコ
何倍もの金額をふっかけてより稼ごうとする者たち。仕事なんてハナからやる気のなさそうな者たち。沐浴もお祈りもたまにしかやらない者たち。
何かを感じ取ったようで考えたようで、何も消化できてない、そんな後味を、一番安い等級の寝台で感じる
とにかく自分のそれとは遠くかけ離れた人生を歩む人々が、そこにはたくさんいた。